|
『御法度』(ごはっと、英題:''Taboo'')は、1999年に公開された日本映画。大島渚監督。司馬遼太郎の短編小説集『新選組血風録』収録の「前髪の惣三郎」と「三条磧乱刃」が原作。幕末の京都を舞台に、新選組を男色の視点から描いた時代劇である。 大島渚の13年ぶりのメガホン、映画『戦場のメリークリスマス』 以来となる監督・大島渚、主演・ビートたけし、音楽・坂本龍一のトリオ復活、松田優作の息子松田龍平の初出演などで話題となった。 大島渚の遺作となった。 第9回淀川長治賞受賞。第1回文化庁優秀映画賞受賞。 ==概要== 新入隊士の美男剣士加納惣三郎(松田龍平)が、同期入隊の田代彪蔵(浅野忠信)に衆道(男色)の世界へ引き込まれ、最初はこれを拒んでいた加納もやがて衆道にのめり込んで、淫乱な妖婦の如くになり、新選組の統制を乱したとして土方歳三(ビートたけし)と沖田総司(武田真治)によって粛清されるまでを描く。 松田龍平のデビュー作であり、神田うのは初の映画出演作である。神田はセリフこそないものの、モデル出身を生かし、見事な花魁歩きと高級花魁らしい余裕の表情でインパクトを残した。 架空のストーリーであるが、近藤勇の元治元年(1864年)5月20日の書簡に、隊内で男色が流行したと記されている。また衆道の話ではないが、島原通いで粛清された加納惣三郎という実在の確認できない隊士の逸話が残っており、司馬遼太郎はこれらの話に着想を得ている。 この作品では、六番組組長井上源三郎が中心となる「三条蹟乱刃」もストーリーに組み込まれ、原作の国枝大二郎の役回りを加納惣三郎が代わっている。 考証面では、新選組物では定番になっている浅葱色のダンダラ模様の隊服を用いず、ワダ・エミがデザイン。この黒の隊服の設定は映画版 『壬生義士伝』(2003年)でも用いられた。(実際、新撰組は浅葱色の隊服ではなく、黒の隊服を使用していた。)また太夫の衣装も元来太夫でさらに花魁となると細かいデザインで明るい着物を着用するが(夜であるため、灯りが少ないことと、細かいデザインほど高価な着物となるため。)黒を基調としており、統一感のある美を演出している。奇抜なホモセクシュアル映画と看做されることもあるが、この作品は司馬の原作を生かしながら、映画としての独創も盛り込み手堅い時代劇になっている。この作品がデビュー作となった松田龍平は、高く評価されてこの年の新人賞を総なめし、以後、映画とテレビドラマで活躍している。 大島渚は1995年にこの映画の制作を計画したが、脳溢血で倒れたため延期となり、大島の健康の回復を待って1999年にようやく完成させた。第42回ブルーリボン賞、第42回毎日芸術賞を受賞した。第53回カンヌ国際映画祭に出品したが、時代背景などがヨーロッパ人にはわかりにくく〔日本人にとっては新撰組の存在意義、そして各登場人物のパーソナリティは周知の事実として理解されており、物語の進行が一つの約束事の上に理解できるが、日本の歴史に通じていない欧米人の観客にとっては物語が進行する前提そのものそのものが理解出来ないこととなった。〕、受賞は逃している。この後、大島の健康状態が再び悪化し、新作のメガホンを執ることなく2013年1月15日に亡くなったため、本作が彼の遺作となった。大島が、生涯最後の25年間で監督した唯一の作品でもある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「御法度 (映画)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|